「加戸守行証言」って今さらマスコミが報じるべきほどのものなのか?
2017年7月、加計学園問題について、閉会中審査が行われ、この中で、元愛媛県知事で、文部省出身の加戸守行氏が証言をした。
その内容は、既に産経新聞が報じていた内容とほぼ同様のもので、当ブログでも1か月ほど前に取り上げていた(「四国に獣医学部を」と客観的な必要性・妥当性の検証)。
今さら驚くべき内容ではなかったわけだが、なぜか、「加戸守行証言を取り上げないマスコミは死んだ」などの批判が寄せられている。
果たして、それほど重要性の高い証言を行っていたというのか?
加戸守行氏の証言内容とは?
加戸守行氏の閉会中審査での証言内容とは、ざっと以下のようなものである。
「歪められた行政が正された」
愛媛県知事のときに鳥インフルエンザ、口蹄疫ウイルス、BSEなどの感染症対策に苦労した。
私は愛媛県民のために岩盤規制と戦っていた。
やっと国家戦略特区で実現できるようになったのを喜んでいた。
「行政が歪められた」のではなく、「歪められた行政が正された」というのが正しいと思う。
日本獣医師会が強く反対
特区申請で一番強く反対してきたのは日本獣医師会だった。
感染症対策にブレーキをかけるというのは理解できない。
獣医師会は「今治にはつくるな」と言ってきた上、自分たちは何も対策を講じない。これはあまりにもひどい。
民主党もやると言った
民主党政権になり、やると言ってくれたことで、「門前払い」から「検討」にレベルアップした。安心して次の知事にバトンタッチした。でも民主党も何もしてくれなかった。
日本人の生命に関わる問題
感染症対策は、日本人の生命にかかわる問題。先端サイエンスと共に獣医師を育成しないといけない。
そもそも「加計ありき」ではない
愛媛県会議員と加計学園事務局長がたまたま友達だったところから話が始まったに過ぎない。
それでも「ダメ」なのか?
メディアは取り上げない
一点の曇りもないというのが今回の事件の結論。
沢山取材が来たが、都合よくカットされ、私の申し上げたい事を取り上げてくれたメディアは非常に少なかった。
「堂々巡り」と言われるワケ
加計学園疑惑の核心とは、「公の利益のためではなく、友達の利益のためではないのか?」というもの。
これが「これは友達の利益ではなく公の利益のためなのだ」と言えるためには、
①「獣医学部必要論」につき統計数値などの客観的な資料
②「加計学園だからこそチャレンジするに値する」と言えるだけのスペック上の根拠
の二つが最低限示されなければならないはず。
この点、地方自治の長が「獣医学部が必要だ」と主張したのみで客観性が担保されるはずもなく、「箱モノを誘致したいがためのよくある答弁」と区別されるようなものでなければ、「浪花節」との批判はやむを得ないだろう。
また、失礼ながら、「加計学園・岡山理科大学」と聞いた時、「実力で獣医学部新設を勝ち取ったのね」ではなく「どうせコネだろ」という印象を多くの人が持つのは仕方のないところ、これを覆すような理由づけやスペックが加計学園・岡山理科大学にはあるのか? この点の疑問解消を避けている限り、「それ以上何を言っても時間の無駄」との烙印を押されるのは仕方がないだろう。
(※後者の点につき、「京都産業大に比べ、加計学園はずっと長年に渡って申請している!」と言う人がいるが、「俺はアイツが入社試験を受ける前から頼みこんでいた。だから俺が優先して採用されたのであって、コネ入社とは違う」と言っているようにしか聞こえない。これを「コネ入社」というのである。)
ちなみに、加戸守行氏はどういう立場?
「加戸守行氏は、既に愛媛県知事を辞められた方で、利害関係のない第三者的な立場にある。そんな加戸氏が言うのだから、この人の言うことが正しく、『一点の曇りもない』というのが真実だ」との言説もある。
だが、この手の「立場論」の話をしてしまうと、例えば「加戸守行氏は日本会議所属メンバーだ。だから、日本会議メンバーのお仲間同士ゆえ、ますます疑いが深まることになる」といった言説も検証しなければならないことになる。
【加戸守行】前愛媛県知事
こいつも日本会議のバリバリのメンバー。安倍が「教育再生実行会議有識者」に直々に指名したほどの仲。加計孝太郎とも旧知の仲。
もう『亡国会議』と名乗れ! pic.twitter.com/YPmNjakVwX— フル (@furkei) 2017年7月10日
結局、加戸守行も加計孝太郎も市長の菅良二も「日本会議」。10年も執着してるのは、受験生の多い獣医学部なら、教育ビジネスが成立して町おこしも出来るという、不純な動機が強烈だからよ。何より日本会議の勢力拡大だしね。それを、モットモらしい皮を何重にも被ってさ。#加戸守行 #日本会議
— よしなズラ (@dRU5XZ0dncB8sVv) 2017年7月10日
成熟した議論をするためには、「この人はこういう立場だから」で主張の当否を判断すべきではなく、まずはその内容から吟味されるべきである。
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