ドラフト会議直前の「調査書」とは?その深~い意味に迫る
プロ野球ドラフト会議の直前になると、「誰ソレにドコドコから調査書が届いた」といった報道が目につくようになる。
この調査書とは一体、どんなものなのか?
調査書が届くとは、何を意味することなのか?
調査書が届かないと、現実問題、指名の可能性はないのか?
等々、ちょっと調べてみたぞよ。
調査書は球団から学校・所属チームに届く
プロ野球各球団が、興味のある選手が在学・所属している高校・大学・所属チーム宛てに調査書を送付。
それに対して、高校・大学・所属チームが記入欄に記入し、各球団に送り返す・・・
といった手続きがなされているものと思われる。
調査書の内容
調査書の内容は、生年月日、卒業見込み、学業成績、身長・体重、視力や体力測定の数値など、主観的評価ではなく、客観的数値が中心になると考えられる。
ただ、大学に送られる調査書は、大学の野球部監督が野球に関して詳細に記載できる欄があるとも言われており、社会人に関しては、暗に本人の意思確認ができる仕様になっているのでは、と考えられる。
調査書はルールの範囲外
2019年現在、ドラフト指名対象になりうる選手は、
高校生・大学生の場合は「プロ志望届」を提出した選手、社会人の場合は一定の年数が経過した選手などのルールがあるが、
いずれにせよ、「調査書」はルール上のものではなく、これが届いたの提出されたの言ったところで、何かが確定する代物ではない。
調査書を送付し提出させる意味
それでも、この「調査書」が届いた、提出されたということは重要な意味を持つ。
調査書は、内申書のようなもので、
形式的には「興味を持っている選手について最低限のことを確認する」という程度のものでしかない。
しかし、「調査書が球団から届く」ということは、「球団が興味を持っている」ということであり、
その球団に対して「調査書を提出する(返送する)」ということは、「御球団でお世話になれれば嬉しいです」という意思表示の意味でもあり、「調査書を提出しない(返送しない)」ということは、「指名はご遠慮ください」という意思表示にもなるというもの。
球団としては、せっかくドラフト指名しても、その選手に逃げられてしまっては、交渉枠の無駄遣いになるし、
選手(それも有力選手)にしてみれば、行きたくもない球団に「人生を邪魔されたくない」という思いもあるだろう。
調査書とは、すなわち、日本社会独特の「暗黙の了解」がひとつの形となって出現したものといえるかもしれない。
社会人のプロ志望者にとってはより重要
調査書は、高校生、大学生のドラフト候補に関する報道が多いが、社会人(独立リーグ含む)のプロ志望者にとって、より重要な意味を持つ。
つまり、調査書を提出(返送する)することで、「ドラフト候補」になると言われている。
これは、前述のように、高校生や大学生の場合は、選手の側がまず「プロ志望届」を提出することで「プロになりたい」という意思表示をし、それを見ながら球団が「調査書を送付」する流れになっているところ、
社会人選手の場合、「プロ志望届」というものがないため、自らの「プロになりたい」という意思表示を公に発表する場がなく、「調査書の提出」という形でしか表現する手段がないことによる。
調査書が届かなくても指名されるケースは?
調査書があくまで「暗黙の了解」の産物で、ルール上のものではない以上、
「調査書が届かないのにドラフトで指名された」
ということは起こりうるし、現にそういうケースもあるという。
ただ、「あるにはあるけれど・・・」とのことで、
「保守本流」ではないようだ。
調査書を提出しても指名されないケースは?
・・・とこうなると、球団から調査書が届き、その球団に調査書を提出すれば、「相思相愛。あとはドラフト指名を待つだけ」ということになりそうだが、どっこい、そうは問屋がおろさない。
複数の球団から「調査書」が届き、「プロになれるのならどこでも頑張る!」と、いただいた全ての球団に調査書を提出したものの、結局ドラフト会議ではどこからも指名を受けなかった・・・
ということは、毎年、ごく当たり前のように起こっている。
「上位指名は無理でも、下位指名でなんとか・・・」という思いを抱きながら、ドラフト会議を息を飲むようにして見守っている選手関係者もいるわけだが、そういった関係者全員に朗報が届くわけではない。
「縁がなかった」ということで、ひとまずは気持ちを切り替えるしかないのだが、
「調査書」なるものに、何の法的拘束力もない限り、最後は力関係ということになってしまうのであろう・・・
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